・理想の男
四十路まで見合いを断り続けた女性がイケメン彼氏にこっぴどく振られる所から始まる。何とか結婚せねば!という想いから地元の有名紹介所へ行きそこで一人で切り盛りする女性社長の紹介である一人のイケメン男性がデートする事になった。
非常にモテる男性なのに四十路まで独身の謎の好物件杉下さんがこれまでお見合いした女性三人とも彼と付き合う前後に不審死を遂げていてある日ドライブ旅行をした時に杉下さんが人のいない山奥まで走らせてはプロポーズしてきた所がこの人はやっぱり快楽殺人鬼なんだ!と思わせといて最後の最後で真犯人が現れるというオチが面白かった。
あの人も女性だったのをすっかり失念してた。
・婚活マニュアル
冴えないサラリーマンが婚活パーティーに参加してトップモデルと見まがう程可憐な看護師愛奈に惚れ込み様々な偶然が重なって見事彼女の心を射止めてデートを重ねるも自己中心的かつ散財が凄まじい典型的なクソビッチだと判明する一方で彼女の同僚で先輩看護師ながらブスの靖子が実は愛奈の様々なテクニックの代役だと知った男が段々家庭的で気立ての良い靖子に惚れていき、ついに愛奈との関係を終わらせて靖子と真剣に交際したいと思うようになるが実は・・・という話。結論から言えば靖子さんが凄すぎるね。一時連続保険金殺人で逮捕されたある犯人がお世辞にも美人とはいえないような容姿の女性だったというのが二件あって二件ともリアルで凄い話題になったけど、それに近い人かな。何だんかんだで愛奈さんと結託して婚活男性を既に3人ほど凋落してるって聞くと凄いなと思えてね。
でやっぱり冴えない男ないし非モテ男子というのは婚活マニュアル本にあるような女性を理想と思うようになるだろうって所からこの一種の錯覚みたいなものを真実の愛だ、盲目的な愛だと思うようになるのかなと。これ面白かったね。
・リケジョの婚活
第69回日本推理作家協会賞の短編部門にノミネートされた作品。
リケジョならではのデータ分析力を用いて婚活番組に出場してある一人の実業家?水産加工の大きな会社の御曹司典彦さんと付き合うためにそのデータを散々分析してインプットして婚活パーティーの中で気立ての良い出来る女を演じてみせたものの、結果は大分迷った挙句何でもないような家事手伝いの女性が選ばれた。それで悔しいって終わるのかと思うとそうじゃなくて実は御曹司の甥っ子友則くんに上げたロボットに監視カメラを取り付けててそれで四六時中監視するみたいな話だった。僕の説明が下手でアレだけど、要するにリケジョさんがストーカーになったという話だね。彼の親族や甥っ子と物凄い親密になりながら振られてもめげずにお別れの時にもわざわざ彼の両親の元に駆け付けてまたビジネスでもお会い出来たらみたいなあざとい身の振り方でまさか自宅を監視してるなんてとなる。御曹司が直感で家事手伝いの女性に決めたというけど、このリケジョを危ない女と無意識に拒否ったのかなとちょっと思ったり。番組のスタッフかな?タレントかな?その人の質問に対して異常な位この御曹司一択です!!な強烈アピールを拝見してたのかな?としか思えないよね。話してみてそんなパッと分かる訳ないもんな。
これ続編があったら面白いよね。実写化してもいいくらい。
・代理婚活
今流行りの親が子に代わって婚活する、いわゆる“代理婚活”の話。代理婚活といえばドラマ相棒で杉下右京が代理パパ役で出てたなと。
でこの物語は35歳でバイクの整備工場を経営してる一人息子孝一さんのために石田夫妻が代理婚活する話だった。お相手の吉村夫妻の一人娘葉子さんが一番人気だったみたいで無理だろうと思ってたら吉村さんの方から受諾のオファーが届けられたって事で。そんな中定年後再雇用も終わって自堕落な生活を送ってた益男がその送ろうとしてきた葉子さんの母久恵さんに一目惚れしてしまう所から物語が展開していくっていう。
息子孝一さんの反応は最初こそ良かったけど段々上流階級の吉村夫妻が鈍くなり葉子さんに至っては彼の手を見て不愉快そうだったので断って欲しいと打診してきた。いやーよく見てる。バイクの整備工場を経営してるだけあってツーリングもよくやってるだろう、恐らく女慣れもしてるだろうと思ってたけど案の定結婚を考えてた女性がいたらしいし。
こうしてみるとつくづく息子に無関心だったんだなと思わせるな。父益男は自分の理想ばかり押し付けてる感が出てきてる。逆に夫の定年後は趣味の陶芸など幅広く展開していた妻郁子さんの方がよく観察していてなるほどなって感じだった。
それ以上に息子の孝一さんの方が父益男よりずっと相手を見てたんだと正に無意識で分かったんかね。彼らが結婚詐欺師である事に。結納詐欺ってあるんだね。あの後解説読んだけどめっちゃ分かりやすく説明されてたので、この本を読むにあたって解説は基本的に後で読むのが一番だけど、完璧に要約されててかつ秋吉理香子さんを評してるので正に度肝を抜かれた感じで最初に読んでも良いかも。
それにしてもこの文庫本は最初ハードカバーだったのかね、2017年ってあるから。いやー良い小説だな。