mouseionのブログ

アニメ感想中心だけど、たまーに色々考察します。

石田衣良『清く貧しく美しく』 雑感 フィクションだから気軽なんだな。

現実的にはどうなんだろ。
目の前でちらつく華やかな正社員の世界に今一歩足を踏み出そうとする自分と今のまま腐れ縁のような生まれた時から対のような関係の優しい彼女と貧乏なリアルから抜け出そうともがいたはずが弱さを肯定して強くなったらもう正社員を目指すなんて事はちっぽけなんだってわかったんだ的なラストで。
多分好きな小説家に思い描いた自分と重ねてたけど正社員になって幹部候補生になった途端その理想を描いてた事から離れてしまうからだから正社員になる話を断って今を維持しようって。
30にもなって夢物語だわ。でも何て事はないんだろうな。やれない事はない。同期で元恋人の佳央梨と過ごして会社の在り方に依存して自分を押し隠して生きるよりはもう一人の同期山根と好きな小説の書評を書いて気楽に生きた方が気持ちは楽だもんな。それを逃げてると言えばそうかもだけど本人はそれでも決断したから良いんじゃないかな。何も正社員こそが幸せになる事というじゃない。人それぞれに幸せの形があるんだって事を筆者は伝えたかったのかな。
しかし胸がない、尻もたるんでる、でも耐えるような仕草でえっちしてくれる日菜子に何百回も飽きずにヤレるというのは凄いと思う。いずれ本橋の奥さんみたいに子供三人位作るんだろうけど、まだ結婚もしないし子作りも当然出来ないよな。なのにいつかはするっていうのを生き急いでるよな。自分に酔ってるよな。それは悪くないし生き様だから何とも言えない。堅志は名前の通り堅い志を持っているっていう名は体を表わすなんていうけど、自己評価低い二人が共依存関係から抜け出すために強くなろうとする、というのは分からんでもない。
でも何も無くても今の環境が良いから幸せだっていうのはどうなんだろうね、あんまり現代的な価値観とは言い難いけど今の価値観はそうなのかもしれないな。変われるけど変わりたくないみたいな。しかしあの会社の正社員断ったらもうあそこ配送センター辞めないとダメだよな。大抵の小説は続編がないから後はご想像にお任せしますなんだけど、堅志はあの会社絶対に働けないよ。まずチームリーダーの村井と卑屈な約束反故にしたからな。もう辞めるしか道ないよ。じゃあ日菜子が働いてる隠れ家系居酒屋にでも一緒に移り住んで働く位しかないんじゃね。でたまに山根の勤める出版社に書評を送ってお金を貰うっていうようなまあフリーランス生活を満喫するか。現実は非情かつ理不尽だからな。
読みやすさはかなりあったと思う。石田衣良作品で5時間切ったのは初めてだわ。だから結構万人向けじゃないかな。82点。