天然痘の対処法は牛の痘瘡だけど、この時代の日本の医学がそこまで発展してたかは微妙なところだな。
ましてや東北以北、更に北海道にこれを治す方法が確立され流行るのは多分明治の中頃だろうと思われる。
ギリギリ大正時代に入ってようやくその間知を見る事になるだろうけど、当時の都心部でさえそんな有様だから田舎ほど隔絶された場所ではとりあえず隔離するしかないし、強い感染力からもしかしたら遺伝なのかもと迷信を信じるような閉鎖的な所だ*1。そんな状況でさえなければ、今回の様に賢吉が彼の妻で谷垣の妹を手に掛けたりはしなかったし、その贖罪から万歳突撃を掛けて来たロシア兵に命がけで対処しようとはしなかっただろう。全部田舎が悪い。そういえばいわゆる日本住血吸虫問題の時も各々の村や町の役場が何十年も掛けて国や自治体に働きかけて合同で除染したのだって割と最近になってから、昭和も終わりかけの頃だったとかいうし、割とその辺の医学研究はあんまり浸透してなかったと思う。ましてやワクチンなんていう予防知識さえ持たなかった当時の日本ではやはり隔離するしか手段は無かった。今でも精神病患者だとか薬物・アルコール依存症患者は概ね隔離されやすい。偏見とは言うのだけど、これも天然痘などと同じで確立した対処法がない、または少なく研究も殆どなくてなし崩し的というのが正しい。
そんな訳で今回のゴカムでは谷垣が必死になって妹の仇を探してたらその仇である賢吉が瀕死の状態で今にも死にそうな時に最後の力を振り絞って誰とも知らぬ相手に小言のように懺悔をし続けて彼が持っていたカネ餅なる郷土料理で初めて賢吉が喋ってた相手が谷垣本人であると気が付いて息絶えたのは正直良かったな。その話を聞いて、母親の死を見届けもせずひたすら仇を討とうとしてた自分が情けなくなったのかなあ。
どうもあの父母らは気が付いてたのかもしれない。それとも何となく察しが付いてたのかなと思われる雰囲気だった。ただ娘が焼け死んだ事に悲嘆してたのかもしれないけど、殺したすぐ後に軍部に入ったという事は死にに行くも同じだったと思うので、その時点で事情は不明だけど実は殺人ではなく心中だったのでは?と察したのか、いずれにせよアニメでは特に言及がなくてそれっぽい流れに見えたという個人的感想に過ぎない。
それにしてもその空気をぶち壊すアシリパさんの謎踊り。そして谷垣が実は数年も前から杉元と知り合いで同僚に尾形がいたのが運命的であるしここが笑えるポイントなのかもしれないな。
あと、似たような話で、絶纓の会という春秋時代の故事がある。こちらもある人への贖罪の気持ちから後にその人を守る戦いに身を投じて行くというもの。賢吉はもしかしたらそんな気持ちでロシア兵に向かって行ったのかも。