mouseionのブログ

アニメ感想中心だけど、たまーに色々考察します。

宮城谷昌光 三国志名臣列伝 後漢篇 雑感 荀彧の死の解釈が面白かった。

一番最初の何進がまず面白かった。
肉屋から血の繋がらない義母が持ってた黄金で妹が何皇后になるまでの流れが良かった。
その後党人と呼ばれる袁紹荀攸などの清流派に担がれて対宦官の筆頭として彼らを動かしてた所に彼自身への輿望があって、
肉屋と卑しい身分だったのをちゃんと理解して難しいと感じた作業を賢臣に全て任せてた辺りが英断で聡明だったのかなと思わせた。
そういえばあんまり暗愚の印象がなかった。ただ何進は最終的に張醸らによって暗殺され、結果少帝弁や妹、義弟の死に繋がり董卓の専横を許す事になったのが悲劇ではあったな。
王允については悪臣のイメージが付いてたので本作でそのわだかまりがスーッと無くなったのは良かった。また呂布献帝の事を託したのは結構斬新だったというか逆に腑に落ちたかな。呂布陳宮に立てられて濮陽で独立した時に荀彧以外の殆どが呂布に付いたのは呂布がその時まで献帝派だったと知られてたから。でも最後まで曹操に潰されて文字通り終了したのがね。何か辛いなって。
荀彧の段は結局何故曹操に疑われたか若干せっかちさもあったのかなと。赤壁で大敗するまでは荀彧の言う事が全て正しかったのに気付いたら曹操は荀彧を恐れて殺してやろうとなったまでのくだりが無理矢理過ぎるかなと。一説では曹操を魏公に奉戴した一人として挙げられてるのに空箱を渡されて毒を飲んで自殺となってる。元々何ギョウという人相見の高名な学者がいてその人に曹操と共に天下を奉戴する役目を担うと予言された王佐の才を持った人物と言われてたし、荀家を曹家に導いた事で張良や蕭何に喩えられるほど信頼されてたのに荀彧自身は曹操を裏切らなかったのに結局殺されたってのは納得がいかないなあと。面白かったけどね。でも恨まれる理由に献帝による曹操暗殺指令に対して献帝の傍にいるはずの荀彧が一切曹操に報告をしなかった事に疑念がふつふつと沸いてきたっていうのなら分かるかな。そりゃ疑われても仕方ないというか。


何か思ってたのと違ってたけど、流石宮城谷ワールドだったなと。本書の中では何進が一番面白かったな。次に王允と荀彧。皇甫嵩朱儁は天下の主宰者になれたのにそれをあっさり捨てた所に後漢王朝の中では特に後半は完全に空気で董卓の専横と共に歴史の影に隠れて行ったのが何とも言えないやるせなさを感じたなと。結局宦官との戦いがメインでそれに深く関わった人ほど表舞台で輝いて、逆に宦官から離れた位置にある人は歴史から淘汰されちゃってるのかなという印象が強くなったなと。荀彧は中常侍の娘と結婚した事で後漢王朝に就く事が出来ず同じく大宦官の孫だった曹操に就いた事で表舞台に姿を現したというのは皮肉な結果だ、という事で恐らく最後を締めくくる人物として登場したのかなと思えたな。ともかくあの中でもっと続きが見たいなと思ったのは荀彧だな。荀彧単独の物語があっても良いかなと思う。それか曹操軍の軍師や参謀になった郭嘉たちを一つの伝にまとめた続編があれば読んでみたいところ。