mouseionのブログ

アニメ感想中心だけど、たまーに色々考察します。

朝井リョウ「少女は卒業しない」「武道館」を読んで。

少女は卒業しない

通ってた学校が取り壊される、その状況下に置かれた複数の女学生もしくは男子学生の残された時間の過ごし方を青春群像劇で描いたもの。
最後の章の瞬って子は結局まなみがあげたお手製クッキーを食べてる途中に剣道で勝ったのに天才だった瞬が手を抜いたからだと軽く逆恨みした香川が背中を押した為に軽く驚いたショックでクッキーを喉に詰まらせて死んだって事で良いのかな。
殺人じゃないし、どうしようもない事故だったんだよね、これ。
最初の30ページを読むまで1時間くらい掛かったけど残り200数ページは1時間弱で読めた。読後感は中々良かった。

武道館

つんくプロデュースで実写ドラマもあったらしいAKB48だったかで握手会襲撃事件を参考にアイドルのあり方、握手会のあり方を一人の夢見る少女を中心に描いたもの、という事かな。
握手会は僕参加した事ないし、そもそもアイドルに課金というかお布施をした事が産まれてこの方一度もない癖にたまにその手の事件を見て、バッシングに走った一人としては、中々耳に痛い言葉が多い。アイドルも商品である前に一人の人間なんだと、少女なんだと。
アイドルを卒業した人達の進路が結構リアルで怖かった。確かに卒業後、今でも現役で活躍してる元アイドルって凄く少ないもんね。
ああいう人達って結局生き方をやれ女優やれタレントってやるんだけど、強かにキャラ作りもしてて何となくこれからも少ない椅子取りゲームを静かに争ってそうだな。
別に僕自身はアイドルどうこうって思い入れがあんまりないんだけど、どういう訳か彼女達もしく彼らのその後はやっぱり少し気になるかな。
その人の人生が掛かってると思うとより強く手で触るよりずっと感触があった。
そういうような事を考えさせられる内容だった、かな。僕はそのように受け止めた。違うかもだけどね。
多分元来その人の歴史が好きで堪らないからだと思う事にする。それをアイドルの人達に置き代えただけだろう。
しかし、アイドルでも生き方は様々だなと。初めて出たドラマで演技が棒になるのは仕方ないけど、それが延々続くのならそのアイドルは多分演じる事に向いてないだけだろうし、それでもがむしゃらにアイドル業と兼業してて、今思えば中々ハードスケジュールの中でよくやってるなと感心する。
まあ、その後何らかのドラマがヒットすればそのドラマが代表作となりって当たり前だけど、結果として俳優としてステップアップしていく、バラエティーでもこの人ならという役回りに宛がわれる様になれば需要も自ずと出て来て、アイドルとしても大成するだろうけど、
その枠を、椅子取りゲームを延々続けないといけないのがアイドルって凄く疲れそうだ。そしてスキャンダルにも目を光らせないと駄目だし、旬を過ぎれば仕事が無くなる訳でそれでもしがみつくか、あるいは、あっさりアイドルを辞めてしまうかはその人次第だけど、
この小説読んでたら辞めたら終わりって予感がふっと沸いてくる。やるせなさみたいなものが感じられるせいか。
恋愛にひた走る者、ひたすらアイドルの理想像を追いかける者、年齢という縛りと戦う者、女優業を熟しながらアイドルも並行する者、誰の為にアイドルをやっているのか日々の過酷なスケジュールの中で見出そうとする者。
こちらも卒業式がメインとなっている気がしなくもない。冒頭に1回最初期メンの独り立ちしたいって、後半に1回初代リーダーの年齢による卒業。その間にはもう一人いてその子は二期生になる前に男性関係のスキャンダルで。ここで思うのは、卒業後(脱退後)のあり方か。二期生候補の子はアイドルになるための素養を全て兼ね備えてたものの、自身の情報を全部削除していなかった。多分アイドルって個人情報すら危険なネタであってそれを見ると常に統制され監視された日常の中で暮らしてるんだなと窮屈ささえ覚える。だからこうして炎上してしまった後に辞めた場合も、少なくともネット社会においては魚拓で残り続けるからその業界にいられないばかりか、リアルの生活でも苦労するんだろうなとか他人事ながら覚える。最初挙げた二人も卒業後、進路が気になる所だがそれでも愛子や碧みたいに人間らしい終わり方ではない。アイドルが恋愛する事はいわば人間化するようなもの。
そうならない為にもロボットであり続けなければならない。アイドルというファンに夢を与え続ける職業というのは。


今回の叙述トリックは面白かった。確かに伏線がいっぱいあって気が付いた事もあったのに理解して深読みしてなかったから、すっかり抜け落ちてた。
そしてその十数年後の話を描いたエピローグは、何となくモーニング娘。の往年のメンバーが揃ってのイメージがある。まあ、先に書いたようにつんくが帯を執筆してるので、それ系を何となく匂わせてくる。
しかしアイドルって大変だなと。小説の世界がまるでリアルを思わせる、どきっとさせられる内容が含まれてた。ただ、まあ現実的には学校の同級生とイチャコラするとか部屋を行き来するとかって妄想にしてはヤバいなと。そのどちらかには当然ストーカーが存在するから、そいつに撮られる事を懸念しなかったのかって考えたら彼女たちはまだ学生だったんだと気付いた時、そういえば学校の成績も出席日数も足りない事がちらほら出てたものね。
読み返せば読み返すほど、あるある情報な気もする。
それにしても人妻アイドルってそこはかとなく背徳感を覚えるジャンルだ。実は夫がいて子持ちなんだぜって何か想像しただけで興奮するわ。
それは僕がアイドルに対して商品的な虚像を思い描いているからなんだろうと、ここらで〆ておく。


どうでもいいけど、チア男子!でも思ったけど、朝井リョウってポカリスエットが好きなの?他の作品にも確かポカリが登場してた気がする。
最後に誤字脱字あったらすみません。でも作品は普通に面白かったですよ、特に武道館は。